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2023年03月02日

第65回卒業証書授与式 式辞

第65回卒業証書授与式における校長の式辞を公開いたします。

 

 式  辞
 
 本日ここに、第65回北海道科学大学高等学校卒業証書授与式を挙行するに当たり、西村会長をはじめとするPTA及び後援会役員の皆様、同窓会役員の皆様、そして学校法人から苫米地理事長をはじめとする役員と各設置校の学長・校長のご臨席を賜りました。また、保護者の皆様も1家族2名まで参加者を増やし、卒業式後のHRにも参加いただけることとしました。コロナによって日常生活が大幅に制限を受け続けた3年間でしたが、最後の最後に日常にかなり戻ることができたことに感謝しております。
 
 本日、卒業証書を授与される普通科322名の生徒と保護者の皆さんに心からお祝いを申し上げます。君達の高校生活3年間は、まさに異例続きの日々となりました。高校生活のスタートを飾る入学式は、教室での放送による実施となり、高校での授業に慣れる間もなく、長期の学校閉鎖に追い込まれました。世界的な需要急増によってiPadの配布が遅れることとなり、課題が何度も郵送されてきたことを覚えていますか。井上学年主任を始めとする10名の担任団は、想定外のスタートとなった君達の高校生活に少しでも実感を与えて、心のつながりを作ろうと試行錯誤を繰り返しました。結局、この年は宿泊研修・部活動の各種大会や学校祭など、あらゆる行事が中止に追い込まれ、全校生徒が一同に集まったのは、屋外で実施される避難訓練だけという1年間となりました。2年目は、感染状況の改善と悪化によって、一喜一憂を繰り返すこととなりました。何と言っても、君達にとって最も大切な行事である修学旅行を実施できなかったことは、私にとって未だに痛恨の出来事であり、改めて、みんなにお詫びします。
 
 3年生になり、せめてとの思いで、副校長と担任団が協力して代替の宿泊行事を企画してくれました。僅かな時間を少しでも楽しもうとするみんなの気持ちに救われた気持ちになりました。時と共に、コロナに対する不安が徐々に解消されていく一方で、完全な解決はもたらされず、進路や部活動に挑戦しながら、高校生活最後となる日々を過ごしてきました。
 
 コロナは確かに、我々の生活に大きな影響を及ぼし、自らに責任のない苦労を強いられた人々が沢山います。君達の学校生活を守るために絶対に避けるべきリスクは何なのか、逆にリスクがあっても挑戦すべき事は何なのか、我々も悩み続けた日々でした。悩み、もがくことは大変ですが、けして悪い事ばかりではありません。ややもすると当たり前として深く考えてこなかった事を見つめ直し、何が大切なのか、優先順位はどうなのかを、まさしく主体的に考えるきっかけにもなったはずです。その一方で、コロナが我々に与えた負の側面も見逃してはなりません。それは、自分自身で決めるべき事まで社会の決定に頼ってしまったり、自分で解決できることまで他者の責任に転嫁してしまったりする、メンタル的な側面です。
 
 今、世界に目を転じてみると、ウクライナの戦争は終結への道が見えず、トルコ・シリア国境地帯での巨大地震は、日本の三・一一を上回る犠牲を出し、未だに見捨てられて援助の手が届けられていない人々が溢れています。コロナも含め、すべて、命というものに直面する出来事であり、「命を見つめる」と言うことは、「いかに生きるかを考える」ことを求めます。よく、「自分らしく」という言葉が使われます。とても大切で魅力的な言葉ですが、「何をもって自分らしいと判断するか」は実は難しいものです。君達に3年間伝え続けた、「挑戦しよう」・「失敗を恐れるな」・「途中でやめるのが失敗だ」・「転んでもただでは起きるな」という言葉は、まさに、「いかに生きるか」への挑戦を意味していました。
 
 3年前の、あの放送での入学式。式辞の中で、私が君達に呼びかけたことの1つは、「駅前通りの地下歩行空間にある、『北海道よ熱くあれ 』という、我が法人の呼びかけに何かを感じてほしい。そして、あの巨大ポスターを彩る人々の1人に自分がなることをめざしてほしい」ということでした。コロナによって不安が募る毎日の中で、熱を保って挑戦を続けた生徒が沢山いました。今まさに、進路に向けた3年間にわたる挑戦の結果を待っている生徒もいます。必ずしも全ての人に桜が咲くわけではありません。しかし、厳しい環境の中で継続できた努力は、君達の財産以外の何物でもありません。必ずいつの日か花を咲かせる。そしてそれは、この母校での日々を通して身に付けたことが基盤となっていれば、我々教員にとってこんなに幸せなことはありません。
 
 君達の学年は、本校の現在と未来にとって記念すべきトップバッターであったことは理解できているでしょうか。それは、君達の学年から本格的にリニューアルされた総合的な探究の時間での取り組みです。立野先生と煮雪先生のリーダーシップの下、高校はもちろん、科学大の先生・東京や海外に在住する専門家も動員して1年間にわたる探究に取り組んだ、貴重な一期生なのです。初めて経験することが沢山あり、時には学校を飛び出して調査や体験をするなど、戸惑いも多かったと思いますが、君達は我々の期待を上回る成果を見せてくれました。あの経験は、これから進学して新たな学びに向かう時に、大きな力になると確信しています。
 
 昨日、4年ぶりに全校生徒が勢揃いして、3年生のための予餞会が開かれました。コロナを理由に中止や縮小するのが容易い中、生徒会執行部も教員もあくまで前向きに、やれることはやろうと考えました。井上主任をはじめとする担任団の君達への気持ちは、十分に通じたと考えています。私も、涙を流して感動しました。
 
 改めて、保護者の皆様にお祝いと感謝を申し上げます。3年間にわたり、本当にお世話になりました。皆さんにとっても、様々な喜びとご苦労が積み重なった3年間であったろうと推察いたします。我が子を15歳にして親元から離す決意をされた方、コロナ禍による先が見えない不安を抱えながら進路に立ち向かうお子さんを見守り続けた方、休日返上で練習する部活動にお子さんを送り出し続けた方、保護者の皆さんの支えがあったからこそ、本校の活動が何とか継続できたと感謝しておりますし、生徒達も言葉に出さずとも、親への感謝を胸に秘めていると思います。もちろん、学校として、皆様のご期待に応えきれなかったこともあったと思います。10名の担任団はもとより、教職員一同、3年間にわたって保護者の皆様とお付き合いさせていただいたことに、心から感謝しております。これからも、末永く本校をご支援頂けるよう、お願い申し上げます。
 
 ご存じのように、本校は4月から手稲前田の新校舎に移転し、皆さんは旧校舎で卒業する最後の学年です。「なんで自分たちは新校舎で暮らせないのか」という声が聞こえる度に、「ゴメン。そればっかりはどうにもできん。」と密かに呟いていました。学校は更に大きく変貌して行きますが、皆さんにとって本校が母校であることに変わりありません。皆さんが今まで以上に、母校の名を誇りを持って語れるように、我々も最善の努力を続けます。皆さんの大いなる飛躍を、また、今後は第65期同窓生として母校と後輩を何時までも応援してくれることを期待して、式辞といたします。
 
2023年3月1日
北海道科学大学高等学校
校長  橋 本 達 也