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お知らせ

2025年04月08日

第70回入学式 式辞

第70回入学式における校長の式辞を公開いたします。


 本日ここに、北海道科学大学高等学校第70回入学式を挙行するにあたり、多くのご来賓のご臨席を賜り、また、保護者の皆様にもご出席をいただき、教職員一同、心からお礼を申し上げます。

 先ほど入学を許可いたしました普通科322名の新入生と保護者の皆様に心からお祝いを申し上げます。田子学年主任と8名の一学年担任はもちろんのこと、本校のすべての教職員や先輩達もこの日を心待ちにしていました。

 皆さん全員に覚えてほしい数字が2つあります。1つ目は、新入生はもう知っています。先週のオリエンテーションでも、学年通信第1号でも、学年主任から伝えられた「70」という数字。今日の入学式も、3年後の卒業式も、記念すべき70回目。当然ながら、君達は本校の70期卒業生となります。この長い伝統の下、今年の2・3年生を含め、2万7千名に及ぶ先輩達が君達を支援してくれます。もう一つは「101」です。昨年度、学校法人北海道科学大学は百周年を迎え、君達は新たな一世紀のスタートとなる101年目の新入生となります。法人百周年の記念事業として新築移転したこの校舎、手稲区前田の地に集う生徒・学生・教職員は6千名に及び、高大一体教育という理念の下、他の学校にはない独自の教育プログラムを総動員して、君達の幸せな未来の実現を支えます。

 実は、今回の入学式。昨年までとは様変わりしました。開会に当たっての書道部と吹奏楽部のパフォーマンス。この後には合唱部からの歌のプレゼントもあり、表立ってはいませんが、この入学式全体を支えてくれているのは放送局です。先ほどの、新入生全員の呼名、この後にある生徒代表の宣誓は、生徒が自分の気持ちを自分の言葉で表現してもらうように変えました。そして、そうした新入生の姿を受けて、最後には君達を3年間にわたって見守り続ける担任団を代表して学年主任から歓迎の言葉を伝えます。70年という歴史を経て、本校は大きく発展し、その最たるものが生徒達の姿であると自負しております。

 皆さんもご存じの通り、いわゆる「高校教育の無償化」や「部活動の地域移行」、「通信制の急拡大」など、「学校って何なんだ?」という問いが改めてすべての国民に突き付けられています。この問いに答える本校のキーワードは、「主体性・多様性・社会性」の3つです。学校説明会でも何度も伝えてきたように、我々教員は、学校として可能な限りの多様な選択肢を君達に与えます。しかし、その選択肢から何を選び、いかにして将来の人生に結び付けてゆくかは君達自身に課された責任です。「指示されたことだけをやっておけば」という受け身の考えでは、変化する時代を生き抜くことはできません。「選ぶ力」・「やりぬく力」こそが自分の未来を幸せにします。更に、どんな進路に進むにせよ、知識だけでは、自分一人だけでは、生きていけないことも自明です。本校では、総合的な探究の時間を中心に、学校を飛び出した、社会につながる学びを重視しています。高大接続プロジェクトと名付けて、系列大学を活用して高校在学中から大学での学びを多様な形で実体験し、高校時代に身に付けるべき基礎知識を具体的に考えさせます。教科における学びにおいても、仲間との協力・協働の場面が様々に設定されています。更に、学校が果たすべき最大の役割を、「生徒一人一人が自立した社会人となり、社会を支える人材を育てること」と捉えるのであれば、「やりたいことしかやらない個人主義」や「自分と同質な人間としか付き合いたくない閉鎖主義」といった考えは乗り越えたいものです。本校は、部活動や生徒会活動、各種行事の持つ意義を重視しています。多様な人間が多様な活動を展開すれば、失敗やトラブルの発生は当然のことです。大切なことは、失敗やトラブルを起こさないことではなく、決して他人のせいにすることなく、自分の責任において乗り越えてゆく人間に成長できるかどうかです。そして、それを実現するために学ぶ場所が、「学校」という場であろうと考えます。

 終わりになりますが、本日の入学式に出席いただいた保護者の皆様に心からお祝いとお礼を申し上げます。教職員一同、新入生全員が「北科大高校に来て良かった」と満足感を胸に卒業する日まで、全力で支え続けます。そのためにも、保護者の方々との日常の連携を密にし、いつでも本音で相談しあえる関係を作り上げたいと願っております。朝の登校から始まる、お子さんの日常生活が大きく変化することに心配を感じていらっしゃるかと思います。是非とも、担任や部活動顧問はもちろん、PTA活動などを通して親同士のネットワークも作り、「子供と上手に距離感を保ちつつも、実はしっかり見守っている」というのが、高校時代の子育ての理想かもしれません。
 改めて新入生の皆さんに伝えたい。高校生までは、あらゆる面で人間としての基礎が形成される時期です。部活動に例えれば、練習試合です。負けてもいい。しかし、負けから何を学ぶのか。負けたままでは終われないと本気で思えるのかが本当の勝負です。更に加えると、自分の未熟さを知り、人の意見に耳を傾ける謙虚さがあればOKです。皆さんが北海道で育つ若者らしく、スケールの大きな人間に成長することを祈って、入学に当たっての式辞と致します。

                                         2025年4月8日
                                       北海道科学大学高等学校
                                     校長    橋 本 達 也